法廷離婚原因以外の離婚の原因とは

性格の不一致

離婚理由の一位を独走しているのが「性格の不一致」です。
全離婚原因のうち男性の60%以上、女性の40%以上の離婚理由として挙げられています。
「性格の不一致」という離婚原因は様々な意味を含む理由であり、便利な理由と言えます。性格の不一致には有責性が存在しませんので、破綻主義的であるともいえます。有責性が存在する離婚の場合、不倫や浮気などの問題が原因として存在していますので、仮にその問題さえ乗り越えることができれば離婚には
至らない可能性も考えられます。
しかし、性格の不一致は言ってしまえば「ウマが合わない」という表現に近いので、どうしようもない、仕方が無いという事になります。従って、対面上便利です。ですから多くのカップルが性格の不一致を理由とし、離婚をしているという実際もあります。
しかし、性格の不一致という理由でパートナーに一方的に離婚を突きつけても、当然合意されない可能性は充分あります。(協議離婚で処理できない場合)その場合は調停(家庭裁判所)で話し合いの場を持つ事になりますが、話し合いの中でも「性格の不一致」だけでは解決しませんから、何が異なるのか?どんな点を愛せないのか?また、相手にその点の改善を求める事は出来ないのか?など、きちんと考えなおす必要がでてきます。

暴力・DV

夫や恋人、同居している男性などの親密な関係にある男性から女性への暴力、虐待を総称してDV(ドメスティックバイオレンス、Domestic Violence)と呼びます。ここでいう暴力、虐待の定義は殴る蹴るなどの肉体的な暴力の他に、「無視する」などに始まる精神的に圧迫を加えるような行為もDV(ドメスティックバイオレンス)に含まれることになります。以下に、いくつか暴力の種類を記していますので参考にして下さい。

  • 肉体的暴力
    殴る蹴るなどの身体に傷を負わせる行為。物を投げたりも含まれます。
  • 心理的、精神的な暴力
    女性に対しての悪口、暴言。欠点を指摘したり辱しめたり、罪悪感を抱かせるような発言をする事もDVもといえます。
  • 社会的隔離(孤立させられてしまう)
    携帯電話やパソコンを持たせてもらえない等、女性の行動を管理したり、外出の制限をしたりして女性を外部や情報などから遮断し、社会的に隔離してしまう事もDVになります。
  • 強要、脅迫、威嚇
    言動や態度で怯えさせる。「出て行け」「犯すぞ」「別れるぞ」等と脅す。本人が大切にしている物を壊したり、ペットや子供などを虐待する。違法行為を強要する等があたります。
  • 性的暴力
    性交を強要される。拒むと殴られる。避妊に協力してくれない。等は性的暴力になり立派なDVになります。
  • 経済的暴力
    夫が家計を管理していて、生活費を渡さない、収入の金額や財産の状況について何も知らせない。等もDVに含まれます。
  • 子供を利用した暴力
    子供を利用して女性を攻撃する発言を行うようにしむけたり、子供の前で女性にを非難したり中傷するなど子供を利用したいやがらせもDVに含まれます。

異性関係

協議離婚原因上位の異性関係には不貞行為や不倫を含んでいます。また、協議離婚のレベルですと、交友関係も含めた異性関係と表現されており、必ずしも不貞が認められているということではないものまで認められるケースがあります。

経済的理由、配偶者の破産

借金や生活費の問題は協議離婚のケースでは離婚の理由として上位に入っていますが、法定離婚原因には含まれていません。 これを「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」として離婚裁判をおこす場合、配偶者の借金が、夫婦の生活が成り立たない程の金額であったり、その取立の厳しさから社会生活が困難な状況に陥ってしまったというケースが考えられます。このような状況でしたら「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」として法定離婚原因が認められるケースがあります。その後離婚が成立した場合、元配偶者が作った借金の返済義務が発生するかどうか?という点も重要です。 ここをはっきりとさせるには、借金をした理由が重要となります。生活をする為に必要だった借金 (日常家事債務:日用品や食料品の購入に必要になった借金)であれば 財産分与として配偶者にも支払いの義務が発生しますが、生活に関係していない借金は配偶者の支払い義務はありません。ただし、自分が連帯保証人や共同名義で借金をしている場合には勿論支払い義務が発生します。また、現代では借金が容易に出来るようになりましたので、パートナーが知らない間に多額の借金を作ってしまっているというケースも考えられます。
あなたのパートナーにすでにその傾向が見られる場合は各都道府県の貸金業協会に対して貸出停止依頼をするなどの措置を行なう事も必要になります。

  • 配偶者が破産した場合
    配偶者が破産した場合も法定離婚原因には含まれていません。従って、配偶者の破産を原因に離婚裁判を行なっても離婚の理由としては認められません。
    破産している状態と比較すると多額の借金を背負っている状態にある方が、一般的には社会生活は困難だと考えられています。自己破産の申し立てをする以前の自宅や勤務先への取立行為は違法ではありませんので、非常に厳しい取立を行なわれる可能性があります。自己破産後は数年間ローンやクレジットが組めませんが、債権者の取立行為は全て禁止されていますので、社会生活を送るのは自己破産後の方が楽になる可能性があります。
  • 自己破産のメリット
    ・一切の返済の必要がなくなる
    ・裁判所への出頭は一度だけ行えば良い
    ・自己破産後の収入はそのまま継続できる
  • 自己破産のデメリット
    ・官報へ氏名・住所が掲載される
    ・住所の移転は裁判所の許可が必要となる
    ・自分名義の価値ある不動産は債務者に売却される
    ・本籍地の市区町村の破産者名簿に記載される
    ・職業・資格に制限がある
    ・破産管財人がつく場合には、管財人に郵便物が配達される
    ・自分名義の借金やローンは5~7年間はできなくなる

この記事を書いた人

夫婦生活研究所 所長
1979年東京生まれ
20歳で初婚。28歳で一度離婚を経験し、その後35歳で再婚する。
初婚の際に一女を設けている。
男性、夫視点での結婚観を記事として執筆。
男性と女性とで、感覚の異なることから発生する摩擦を減らすことができるよう、日常生活に根付いた分かりやすい記事が人気。