調停離婚

調停離婚とは

離婚について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合(協議離婚でまとまらない場合)には,家庭裁判所の調停手続を利用することができます。調停手続では,離婚そのものだけでなく、離婚後の子どもの親権者を誰にするか、親権者とならない親と子との面会交流をどうするか、養育費,離婚に際しての財産分与や年金分割の割合,慰謝料についてどうするかといった財産に関する問題も一緒に話し合うことができます。
最近の統計によると国内の離婚総数の中で約9%が調停離婚となっています。協議離婚と合わせると99%の離婚が協議離婚と調停離婚でまとまっていることになりますので、ドラマなどで見られるような泥沼化する事例は非常に稀なことが分かります。

調停離婚の申し立て

夫か妻のどちらか一方から相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てを行います。申し立てに必要なものは

  • 収入印紙1,200円分
  • 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認が必要となります。各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
  • 申立書及びその写し1通(書式は以下よりダウンロードできます)
    調停離婚申し立て書
    調停離婚申し立て書記入例
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • (年金分割割合についての申立てが含まれている場合)年金分割のための情報通知書(各年金制度ごとに必要となります。)

調停離婚の流れ

家庭裁判所で離婚調停を申し立てると約2週間くらいで、第1回調停期日の記載された呼出状が双方の住居に届きます。第1回目の期日は、申し立てから1ヶ月後くらいが多いようですが、裁判所の込み具合によって変わってきます。
家庭裁判所では、呼ばれるまで夫婦別々の待合室で待ちます。基本的に申立をしたほう(申立人)が先に呼ばれ調停室に入りますが、家庭裁判所の書記官と男女1名ずつの調停委員がいて、調停の進め方や調停が何なのかというようなことを説明してくれますので戸惑うことはありません。基本的には夫婦別々に調停委員と話をするので顔を合わせるのはお互いの合意の取れた最後のまとめの時だけになります。
それぞれ約30分程度調停委員にお互いの主張を話しますが、1回の調停ではこれを2回づつ繰り返すので約2時間かかります。1回で調停が成立することはほとんどありませんので平均3回くらい繰り返して調停成立となります。
離婚調停が成立した場合は、調停案を作成してくれますので、確認してください。納得いかない内容であったり、話した内容と違うようであればサインはせずにしっかり伝えましょう。細かい部分についての記載が省略されていたり、調整した内容が記載されていないなど、いい加減な時がありますので注意が必要です。とくに問題がなく調停が終了したら、約1~2週間で調停調書が郵送されてきますので大事に保存してください。
申立人には,戸籍法による届出義務がありますので,調停が成立してから10日以内に,市区町村役場に離婚の届出をしなければなりません。届出には,調停調書謄本のほか,戸籍謄本などの提出を求められることがありますので,詳しくは届出をする役場にお問い合わせください。また,年金分割の割合を決めた場合には,年金事務所等において,年金分割の請求手続を行う必要があります(家庭裁判所の調停に基づき自動的に分割されるわけではありません)。

弁護士は必要?

調停は、ドラマや映画のような法廷で争われる訴訟とは違い、当事者と家事裁判官(家事調停官)、調停委員により調停室で話し合う形式が一般的です。裁判所で行われますがいわゆる裁判ではなく、基本的に夫婦の話し合いでの合意がベースとなります。
従って、必ずしも弁護士と契約しなければならない訳ではありませんが、交渉を有利に進めたり、法律の知識に全く自身が無いなどの場合は、弁護士に相談してみるのもよいでしょう。離婚の交渉の代理人として全てを任せてしまうと費用も高くなるので、法律相談などを何回かに分けて利用する方もいらっしゃるようです。
比較的大きな金銭が絡む問題を決める場合などは、弁護士を雇って交渉を進める方もいらっしゃいますね。

調停離婚のメリット

メリットとしては、訴訟に比べ簡単な手続きと安価な費用で利用することができます。また、協議離婚と違い調停委員が同席してくれますので一方的に不利な条件の離婚を避ける事ができます。
子供の親権や、慰謝料、財産分与の話もでき、そこで決定された事は、調停調書に記載されます。 調整調書には法的な実行力がありますので、後に慰謝料や養育費、財産分与の不払いなどが起きた際には 、強制執行をかけることが可能となりますます。
金銭の支払い関係は、支払い金額、支払方法(振込み等)、支払い回数、支払日などを決め、調停調書に記載してもらうようにしましょう。

この記事を書いた人

夫婦生活研究所 所長
1979年東京生まれ
20歳で初婚。28歳で一度離婚を経験し、その後35歳で再婚する。
初婚の際に一女を設けている。
男性、夫視点での結婚観を記事として執筆。
男性と女性とで、感覚の異なることから発生する摩擦を減らすことができるよう、日常生活に根付いた分かりやすい記事が人気。