浮気と慰謝料

慰謝料とは

慰謝料とは、不法行為によって受けた、精神的な苦痛を和らげ回復する為に支払われる金銭になります(民法709条、710条)。
配偶者だけでなく、結婚している事を知っていながら浮気、不倫をしていた相手にも請求することが可能です。ただ、離婚して慰謝料を請求すれば必ずもらえるという訳ではありません。
離婚の原因がDV(暴力)や不貞(浮気、不倫)などの加害者と被害者の立場が明確な場合には別ですが、加害者と被害者が明確に判断しにくい場合(性格の不一致や、家庭内の不和)には、双方に責任があるとして慰謝料が認められない事例も多くあります。
慰謝料をもらった場合は財産分与はもらえないのでしょうか?

たとえ慰謝料をもらっている場合であっても、財産分与は別に請求する事が可能です。
慰謝料と財産分与は、個別に請求する事も、一括して請求する事もできます。金額交渉に入る前に、相手方と何処までが慰謝料(精神的苦痛の代償)の分で、何処までが財産分与(共有財産の分配)なのかを明確にさせておいた方がよいでしょう。
離婚が成立した後に慰謝料の請求はできますか?

離婚時に慰謝料の話をできる状況でなかった、慰謝料なんていらない!とタンカを切ってしまったなどの理由から、離婚が成立してから「慰謝料を本当は請求したい」と考え直している方もいらっしゃると思います。
慰謝料の時効は、離婚から3年(民法724条)となりますので、その期間内であれば請求する事が可能となります。
しかし、離婚の際に、「慰謝料やその他金銭の請求はしない」などの取り決めをしてあると請求できなくなってしまいますので、そのような取り決めをしてしまった、強引に納得させられたなどの事情がある場合には権利を回復させるために前後の情報を整理した後に専門家に相談しましょう。

慰謝料の算出基準について

算定表が作られている婚姻費用や養育費と異なり、慰謝料にはそのような算定表はなく、いろいろな要素を考慮して、裁判所がケースバイケースで金額を決定します。裁判所が考慮する事情には、不倫や暴力、異常な性癖など、離婚の原因がどのようなものであり、それがどれくらいひどかったか、離婚の原因を作った者の誠意(調停での態度など)、慰謝料を請求する側の精神的苦痛の大きさ、結婚していた期間の長さ、結婚生活の内容、当事者の年齢や収入、資産、子どもの有無や数、財産分与や養育費の支払いなど離婚後の生活などを総合的に考えて決められます。過去の裁判での判例が参考になるでしょうから、弁護士などに相談してみて自分のケースでは慰謝料がいくら位になるかを聞いてみるとよいでしょう。
概算を試算してくれる自動計算を公開しているサイトもいくつかあるようなので事前に活用してみるのも参考になると思います。
自分の思っている額が貰えなさそうな場合には、興信所の調査費用や、裁判時の弁護士費用の方が慰謝料より高く、足が出てしまったなどのケースを事前に防ぐ事ができるでしょう。

慰謝料の相場について

離婚における慰謝料の額は法律によって算出の基準がきまっている訳ではありません。収入や浮気の期間によって慰謝料が大きくバラつくようなイメージを持っている方もいますが、実際は違います。財産分与や養育費の額を除いた純粋な慰謝料としての金額は調停離婚、審判離婚、判決離婚による統計では300万円前後が最も件数が多く、巷で報道されるような芸能人の離婚のように高額な慰謝料はとても望めないのが現状です。

約束通りに慰謝料が支払われない場合

家庭裁判所での調停、審判、判決、和解により金額が定まっている場合には、家庭裁判所から「履行勧告」や「履行命令」を出してもらう事が可能となります。
費用がかからず、電話でも受け付けてくれるていますが、法的な強制力はありません。「履行勧告」や「履行命令」でも支払ってもらえない場合は、支払いに強制力のある強制執行という手段がありますので専門家に相談しましょう。

この記事を書いた人

夫婦生活研究所 所長
1979年東京生まれ
20歳で初婚。28歳で一度離婚を経験し、その後35歳で再婚する。
初婚の際に一女を設けている。
男性、夫視点での結婚観を記事として執筆。
男性と女性とで、感覚の異なることから発生する摩擦を減らすことができるよう、日常生活に根付いた分かりやすい記事が人気。