配偶者の重度の精神病

重度の精神病とは

配偶者が重度の精神病に掛かり、なおかつ回復の見込みがない場合、民法では裁判離婚の原因として認めています。
重度の精神病とは夫婦生活の本質的な義務が果たせない状態にあることで、精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の1級程度の判定が必要になってくる場合がほとんどです。1級の精神障害者ですと、精神疾患の症状として、人格変化、思考障害、妄想、幻覚等の異常体験があり、能力障害の状態では洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持が困難な他、金銭管理能力がなくなったり、家族や他者へ適切な意思の伝達ができなくなる等の症状があります。
具体的な病名としては例えば、早発性痴呆・麻痺性痴呆・初老期精神病・躁鬱病・偏執病などです。配偶者がこのような精神病になってしまった裁判離婚を起こす場合は、精神病の程度と回復の見込みに関して専門医師の鑑定が必要になります。
また、程度の問題は直ぐにでも判断が可能な要素ですが、回復の見込みに関してはその病状の経過をみて判断する必要がありますので、ある程度の保留期間が必要になります。
さらに、精神病になった配偶者の離婚後の生活に関しての見込みや予定が必要になります。そもそも結婚生活には、お互いの扶助義務が発生しますので、「配偶者が精神病になったからといって扶助義務を放棄していいという事はありません」というのが、判例から見て取れる見解です。
従って、裁判所では精神病を理由に離婚を認める事に前向きな判例は残念ながら今までありません。

この記事を書いた人

夫婦生活研究所 所長
1979年東京生まれ
20歳で初婚。28歳で一度離婚を経験し、その後35歳で再婚する。
初婚の際に一女を設けている。
男性、夫視点での結婚観を記事として執筆。
男性と女性とで、感覚の異なることから発生する摩擦を減らすことができるよう、日常生活に根付いた分かりやすい記事が人気。